複合加工について
一般に、精密部品加工では、複数の加工工程を経て製品化に至ります。そうしたプロセスの大半を1台でまかなえるよう、機能を集約したものが「複合加工機」と呼ばれるもの。従来、別々だったNC旋盤とマシニングセンタをドッキングさせることで、加工に伴う段取りや作業者の動きが大幅に省略されるため、生産性向上やコスト低減が効果的に図れます。
なお、複合加工機には、NC旋盤から進化したものと、マシニングセンタから進化したものの2系統が存在しています。どちらも機能的には高度に洗練されており、そん色ありませんが、研削加工、精密部品加工を手がける日研稲吉では、NC旋盤の発展形であるオークマ製「MULTUS B200 Ⅱ」を導入しています。
工程を集約して生産性の向上が図れる
NC旋盤とマシニングセンタが受け持っていたすべての工程を1台の工作機械に集約できるメリットは計り知れません。
たとえば、工程ごとに行っていた材料のセットアップなど必要な段取りを最小限にできて、作業効率が改善されることもそのひとつ。
また、1度のチャッキングで次の工程、次の工程へと移れるため、煩わしい位置決めが不要になることも見逃せません。
さらに、複数の工程を経ても製品ごとのバラつきが抑えられるため、安定した精度が得られる点も特筆すべきポイントと言えるでしょう。
もちろん、工程の大幅な圧縮が図られるので生産誠意は飛躍的に向上し、製造コストの低減にもつながります。
例えば、マシニングや放電加工で手間のかかる、丸物への斜め穴やタップなども、複合機を使えば一度で加工することができます。